甘さが濃厚なデザートワイン―貴腐ワインの基礎知識を徹底解説

貴腐ワインとは

ワイン好きであっても、貴腐ワインに関しては好き嫌いが真っ二つになるケースが多いです。僕は好きですが、僕の周りのお酒好きの中には、これが苦手な人も少なくありません。

「貴腐ワイン」とは、貴腐ブドウと呼ばれる特別なブドウを原料として作る、とても糖度の高い甘いワインの総称です。固有名詞ではなく、あくまでもワインの中の1つの種類ということですね。

稀少性が高く、品質の高いものは高級白ワイン等と変わらないほど高値で取引されることになるんです。

そもそもワインは、自然に生息していたブドウが自然に発酵し出来上がったものを人間が発見したことが誕生のきっかけになったと考えられていますが、貴腐ワインも誕生は偶然によるものだったようです。

1600年代半ば、ブドウを栽培していた農家がオスマン帝国の侵略に遭い予定通りにブドウを収穫することが出来ず、その結果カビが生え、貴腐ワインの原型が誕生したと言われています。

まさに偶然の産物。奇跡的な出来事によって誕生したわけです。ブドウにカビが生えていて、それを捨てずに口に入れてみたところとても甘く美味しいと感動しワイン作りに生かしてみた、そんなところでしょう。

また、ドイツでも1700年代に、同じように収穫が出来ずに放置されたブドウがカビにより腐り、それが貴腐ワインの誕生へと繋がったという話があります。

赤ワインや白ワインと比べるとだいぶ遅い誕生ではありますが、素晴らしい発見であることは間違いありません。

ヨーロッパではかつて、薬としてこの貴腐ワインを活用する人が多かったようです。

ちなみに、日本でも貴腐ワインはちゃんと作られています。世界に名を轟かすようなヨーロッパ各地の銘柄にはまだまだ追いついてはいないものの、長野や北海道ではクオリティの高い貴腐ワインを楽しむことができます。

僕も日本のワインにはとても興味があるので取り寄せたりなどしていますが、正直、欧州のものと比べても遜色ありません。ウイスキーのようにワインでも日本産が世界で絶賛され確固たる地位を築くのも、そう遠い未来のことではなさそうです。

食後のデザートワインとして飲まれる

貴腐ワインは、その甘い口当たりからデザートワインとして位置付けられることが多くなっています。

デザートワインというのは、食事を楽しんだ後、デザートとして飲まれるワインのこと。味が濃厚なワインが選ばれることが多いのですが、食事を終えた後で飲むには貴腐ワインはまさにぴったりなんです。

逆に、食前酒として飲む人も少なくありません。甘味の強いしっかりとしたお酒を口に入れることで、これから食事をするという準備を整える意味があるのでしょう。

実際にヨーロッパでは、食欲増進や一緒にご飯を食べる人たちの雰囲気を良くするために食前酒が振舞われることも多いのですが、その際にアルコール度数の高いワインや甘い貴腐ワインが選ばれるケースも少なくないんです。

「貴腐ブドウ」を使って造られるワイン

貴腐ワインは、「貴腐ブドウ」を使って作られています。このような品種が実在するわけではなく、貴腐ワイン用に育てられたブドウのことをこう呼んでいるわけです。

具体的には、セミヨンやフルミント、シェニンブラン、ソーヴィニヨン・ブランなどの白ブドウが原料として使われることが多いですね。ごく一般的な白ワインと異なるのは、これらのブドウに“ボトリティス・シネレア”というカビ菌を付着させて作っている点です。

簡単に言ってしまうと、ブドウを腐らせているわけです。

それ以外の作り方は白ワインとほとんど変わりません。ただ収穫に関しては、より慎重にブドウの選別をしなくてはいけませんし、カビの付着により水分が失われているので、圧縮作業も丁寧に時間をかけながら行う必要があります。さらに発酵にも時間がかかる上に、そのほかの菌や微生物などの発生にも気を配らなければならず、通常のワインと比べてもかなり時間と手間を必要とするんです。

貴腐ワインが貴重で高価なものになる理由は、こんなところにあるのでしょう。

ちなみに、白ブドウを用いて作られるので白ワインがベースとなりますが、黒ブドウ品種を元にした赤ワインベースのものも存在はしています。

3大貴腐ワイン

貴腐ワインには、「世界3大貴腐ワイン」と呼ばれる存在があります。このトップ3の存在は、必ず頭に入れておきたいですね。それだけでも貴腐ワイン選びに困ることがなくなるはずです。

トカイ

「トカイ」は、ハンガリー北東部に位置する街。貴腐ワインの産地として世界で1番知られているエリアと言ってもいいですね。この辺り一帯は2002年に世界遺産に登録されています。それほど歴史的価値があると認められているということです。

このエリアで作られた貴腐ワインは、「トカイ」と名乗ることができます。それ以外の地域や国で作られたものは銘柄や商品名などにこの文字や表現を使うことが許されていません。

シャンパンと同じような扱いがされていることからも、このエリアにとって貴腐ワインがどれだけ重要なものなのかがわかるはずです。

トカイで作られる貴腐ワインの原料の多くはフルミントです。割合としては少ないですが、ハールシュレヴェルーやイエローマスカットなどが使われることもあります。

種類によっては、通常の白ワインと混ぜ合わせて甘さ等を調整して作られるものもありますね。原料はほぼ同じですからブレンドしても調和は問題ないですし、むしろお互いの長所を引き立てあって、とても奥深い味わいになるんです。

トカイの貴腐ワインはルイ14世が絶賛したとも言われており、世界中のワイン愛飲家を魅了してやみません。この中には、もちろん僕も含まれています。

ソーテルヌ

https://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=NOC

「ソーテルヌ」は、フランスにある地方自治体で、この辺りで作られる貴腐ワインは“ソーテルヌ”と表現されるほど、貴腐ワインにとって重要なエリアの1つとして数えられています。

ソーテルヌの他に、ボンム、フォルグ、プレイニャック、バルサックの村でワインが作られており、どのエリアで作ったものもソーテルヌの貴腐ワインとして流通しています。

使われる原料はセミョンやソーヴィニヨン・ブランなど。

1855年に行われた格付けでは、ソーテルヌの生産者のうち、特別1級にシャトー・ディケムが、第1級に11ものシャトーが、第2級に13もの生産者が選ばれています。それだけ貴腐ワインの生産が盛んであり、赤ワインや白ワインなどと同等の高い評価を受けていることになります。

ソーテルヌの貴腐ワインは、貴腐ワインの中でも濃密さに定評があります。甘みも強く、舌にしっかりとまとわりつくようなねっとりとした味わいは、癖になる人も多いでしょう。“まとわりつく”というのは、もちろん褒め言葉です。それほど濃密であるという意味ですね。

それでいて気品溢れる口当たりですから、セレブの間でも人気が高いのも頷けます。

トロッケンベーレンアウスレーゼ

「トロッケンベーレンアウスレーゼ」はドイツワインの1つです。

この言葉は、「乾燥した顆粒を選び抜いて収穫した」という意味を持ち、つまりは、水分が失われて糖度が増した状態のブドウを厳選して穫り、作られたワインという解釈をすることができます。

この解釈であれば貴腐ワインとして捉えることもできなくはありませんが、全てがそうであるわけでもありません。中には、単に糖度が高くとても甘味の強いワインであり、しかし貴腐ブドウを使用していないため貴腐ワインとは表現できない白ワインも含まれているんです。

ドイツでは白ワインが盛んに作られていますが、温度が上がりにくいという気候の影響もあり、これも甘いワインが好まれる一つの要因となっているのかもしれません。

特にリースリングを用いて作られる貴腐ワインはとても有名で、しかも高級品です。最初は手に入れるのに少し躊躇しましたが、今ではこの味を楽しめるのならと、多少高くても購入してしまうほど、非常に素晴らしい品質となっています。

オルテガも甘いワインの原材料として使われることが多く、しかもこのオルテガはあまり手間をかけずに糖度の高い状態にまで仕上がってくれるため、とても重宝される品種として知られています。

アンズやマンゴーのような香り、はちみつを思わせる甘みなどがトロッケンベーレンアウスレーゼの特徴です。天然のリキュールとも表現されることがあるほど味が濃厚で旨味が詰まっているので、貴腐ワイン好きなら絶対に飲んでおかなければならない代物となります。

まとめ

  • 貴腐ワインとは貴腐ブドウを使って作られる甘味の強いワインのこと
  • 貴腐ワインはブドウの収穫が遅れたことで奇跡的に生まれたワイン
  • カビ菌である“ボトリティス・シネレア”によって作られる
  • 食後のデザートワインとして人気だが、欧州では食前食としても愛飲されている
  • 製造や醸造の工程は白ワインと同じだが、手間と時間がかかるので稀少性や価値は高い
  • トカイ、ソーテルヌ、トロッケンベーレンアウスレーゼが世界3大貴腐ワインとして地位を確立している

貴腐ワインという言葉を初めて聞いた人もいるかと思いますが、今後色々なワインを飲むときに遭遇すると思います。ぜひ覚えておいてくださいね。ご一緒に高く売れるワインをまとめたのでぜひチェックしてみてください。